脂質異常症
Dyslipidemia

脂質異常症とは

脂質異常症は、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)の濃度が正常値を超えている状態を指します。これは、脂質の代謝がうまくいかないことにより、血液中に脂質が溜まってしまう病態です。脂質異常症は、心臓病や脳血管疾患などの生活習慣病のリスクを高める重要な要因となります。

脂質異常症の原因

脂質異常症の主な原因は、食生活や生活習慣にあります。特に、食べ過ぎやお酒の飲み過ぎ、運動不足、喫煙などが脂質異常症の発症に関与しています。また、遺伝的な要素や基礎疾患、薬剤の使用なども影響を及ぼすことがあります。

脂質異常症の症状

脂質異常症自体に特有の症状はほとんどありません。しかし、脂質異常症が進行すると、動脈硬化が引き起こされ、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などの重大な疾患を引き起こす可能性があります。これらの疾患は突然発症することが多く、その前触れとして胸の痛みや圧迫感、手足の麻痺、言葉が出にくいなどの症状が現れることがあります。

脂質異常症の治療

脂質異常症の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法の3つが基本となります。まずは食事や運動による生活習慣の改善から始め、それでも脂質の値が改善しない場合には薬物療法が考慮されます。薬物療法では、コレステロールや中性脂肪の値を下げる薬が使用されます。重症の場合には、LDLコレステロールを直接血液から除去する治療(LDLアフェレーシス)が必要になることもあります。

薬物療法

以下に、主に使用される薬剤の一部を紹介します。

  • メバロチン(ジェネリック名:プラバスタチン):肝臓のコレステロール合成を阻害し、血液中のコレステロールを低下させ、血清脂質を改善します。主な副作用として、発疹、胃不快感、下痢、そう痒、紅斑、脱毛、光線過敏、貧血などが報告されています。
  • リポバス(ジェネリック名:シンバスタチン):コレステロール生合成に関わる酵素を阻害して、肝臓のLDL受容体活性を増強させて血液中のコレステロールを低下させます。主な副作用として、発疹・かゆみ、腹痛、吐き気・嘔吐、便秘、下痢、筋肉痛、倦怠感、浮腫、頭痛、肝機能障害、貧血などが報告されています。
  • ローコール(ジェネリック名:フルバスタチン):肝臓のコレステロール合成酵素を阻害することにより、血液中のコレステロールを低下させます。主な副作用として、胃不快感、嘔気、胸やけ、下痢、腹痛、発疹、そう痒感などが報告されています。
  • リピトール(ジェネリック名:アトルバスタチン):肝臓のコレステロール合成を阻害することにより、血液中のコレステロールを低下させます。主な副作用として、胃不快感、そう痒感、手指しびれ、不眠、下痢、胸やけ、便秘、頭痛、全身倦怠などが報告されています。
  • リバロ(ジェネリック名:ピタバスタチン):肝臓のコレステロール合成を阻害することによって、血液中のコレステロールを低下させます。主な副作用として、腹痛、発疹、倦怠感、しびれ、かゆみ、蕁麻疹、紅斑、頭痛、筋肉痛などが報告されています。
  • クレストール(ジェネリック名:ロスバスタチン):肝臓でのコレステロール合成に関与する酵素を選択的・競合的に阻害し、コレステロール合成を抑制することにより、血液中のコレステロールを低下させます。主な副作用として、筋肉痛、かゆみ、発疹、蕁麻疹などが報告されています。
  • ジャクスタピッド:体内での脂質の合成を阻害することにより、血液中の LDL-コレステロールを低下させます。主な副作用として、糖尿病、注射部位反応、筋肉痛などが報告されています。

これらの薬剤は、主に高コレステロール血症や家族性高コレステロール血症の治療に用いられます。副作用が発生した場合や、症状が改善しない場合は、医師に相談することが重要です

まとめ

脂質異常症は、自覚症状が少ないために見逃されがちですが、重篤な疾患を引き起こす可能性があるため、定期的な健康診断で血液中の脂質の値をチェックし、必要に応じて適切な治療を受けることが重要です。